2016-03-19
20年後に見る夢のカタチ
およそ20年後に還暦を迎えたとき、「まだカラダが動くうちに」との思いを込めて訪れたくなる場所はどこだろう。そんな疑問を抱かせてくれたのは、昨秋、雑誌の取材で訪れた南西フランスで、たまたま出くわした川南活さんだった。
活さんは日本のサーフカルチャーを代表する、いわばレジェンダリーなサーファーでシェイパー。自身のブランド、KATSU KAWAMINAMI SURFBOARDSを湘南で手がけている。
当時の活さんは64歳。湘南在住の田中俊人さんと一緒に、波を当てようとスペインとの国境近くにあるギタリーという小さな村に投宿していた。十数年ぶりの再訪だったようで、身体的、経済的、生活環境的に「まだカラダが動くうちに」とやってきたらしい。
ギタリーは世界レベルのビッグウェイブが期待できる場所として知られる。しかし日本からのアクセスは24時間以上を要するため、アジア人すら滅多に見かけない。そんな場所へフラリとやってきてしまうのだから、その視野の広さやフットワークの軽さには驚くばかり。しかも持ってきたサーフボードがビッグウェイブ狙いの1本だけだった。
ハワイでなく、バリでもなく、フランスという感性と、ビッグウェイブもお手の物な技術。これまで活さんが送ってきたサーフィンライフの道程を思うと、とてもロマンチックに響く。なぜなら、サーフィンにすべてを捧げた、純粋で濃密な人生だったはずだから。